30.大阪圭吉『マレーの虎ー大阪圭吉単行本未収録作品集2ー』(盛林堂ミステリアス文庫)
→未発表の表題作を含む小説6編、エッセイ・ハガキ回答・アンケート8編を収録。解説(芦辺拓「戦時下のスケッチブック-大阪圭吉小論」)、あとがきにかえて(小野純一)。
購入本(新刊&古本)
27.『ミステリマガジン』2019年3月号(早川書房)
→特集「華文ミステリ」。
ブックオフの100円棚から下記2冊を回収。
28.峰隆一郎『殺人特急(ブルートレイン) 逆転の15分』(廣済堂文庫)
29.峰隆一郎『洞爺発「北斗5号」殺人事件』(青樹社文庫)
→「警備保障調査員・五貫吾郎シリーズ」第?作。解説は澤村健。
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2019/01/25
- メディア: 雑誌
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- 作者: 峰隆一郎
- 出版社/メーカー: 廣済堂出版
- 発売日: 2003/09/01
- メディア: 文庫
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- 作者: 峰隆一郎
- 出版社/メーカー: 青樹社
- 発売日: 2000/05
- メディア: 文庫
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山本巧次『阪堺電車177号の追憶』(ハヤカワ文庫JA)★★★
昭和8年から平成29年まで、阪堺電車で働く人々や沿線住人が遭遇した事件を描いた連作集。
プロローグ――平成二十九年三月――
阪堺電気軌道で85年運用されてきた現役最古のモ161形177号電車は、過去の出来事を回想する――。
第一章「二階の手拭い――昭和八年四月――」
塚西の質屋・松田屋の二階の欄干に干してある白い手拭いに目をとめた車掌の辻原。7日後、手拭いが柄物に変わっているのに気付き、塚西で降りた若い男がそれを見て頷き店の裏口に入っていくのを目撃した。半月後、欄干に赤い手拭いが干されているのを目撃し、何かが起きると予感する――。
話の転がし方が上手い。辻原が手拭いの変化に敏感だった理由にニヤリとする。
第二章「防空壕に入らない女――昭和二十年六月――」
学徒動員で運転士になった井ノ口雛子。空襲警報が鳴ったため北畠で停車し、乗客たちと寺の防空壕に向かった。一人の若い女性が防空壕に入らず呆然とした様子で立ちすくみ、身を翻して駆けだした。彼女を追った雛子は墓地で閉所恐怖症になった原因を聞く――。
主要キャラクター、雛子が登場。防空壕に入れない理由は、納得のいくものだったが……(「二十五年目の再会」に続く)。
第三章「財布とコロッケ――昭和三十四年九月――」
榎本章一は密かに想いを寄せる女性が財布を落とすのを目撃した。拾って返すのを口実に親しくなろうと考えたが、小学生に拾われてしまう。翌日、その小学生・池山典郎に財布を返したのか訊くが、彼に「拾っていない」と白を切られる――。
本連作の特徴である「登場人物の成長・繋がり」が発揮された一本。
第四章「二十五年目の再会――昭和四十五年五月――」
天王寺駅前の横断歩道で誰かに見られていると感じた中崎信子は、横断歩道を渡り切り百貨店の前を通ったところで中年女性に声をかけられた。その女性は、25年前に乗った電車の運転士だった――。
「防空壕に入らない女」の続編。指摘されるまで、「防空壕――」の理由の穴に気付かなかった。
第五章「宴の終わりは幽霊電車――平成三年五月――」
阿倍野のクラブのホステス・アユミは入ってきた客の顔を見て表情を変えた。その男―不動産業者の相澤は、彼女の父を騙して家族を崩壊させた男だった。アユミは同僚のナツキから彼が帝塚山で大きな仕事をしていると聞く――。
コンゲームを期待したが、この枚数の短篇では無理だよなぁ。残念。
第六章「鉄チャンとパパラッチのポルカ――平成二十四年七月――」
東京の大学に通う撮り鉄(鉄チャン)の永野幸平は、現役最古の電車となった阪堺電気軌道モ161形を撮るため始発が来るのを待っていた。パパラッチの勝間田康昭は、大阪旭テレビの女子アナ・山田彩華のスキャンダルの決定的瞬間を撮影するため徹夜で見張っていた。そこに、もうひとり男の姿が――。
撮り鉄ならではの推理が面白い。一件落着した後の展開に驚いた。
エピローグ ――平成二十九年八月――
廃車になった177号が目を開けると、そこは――。
綺麗な物語の締め括り方です。
第6回(2018年)大阪ほんま本大賞受賞作。
「日常の謎」仕立ての人情噺6編をプロローグとエピローグで挟んだ構成となっている。登場人物たちが成長・緩やかに繋がっていき、エピローグでの物語の畳み方が上手い。ガチガチのミステリーを期待する方には合わないと思うが、人情噺が好きな方は手に取ってみてはいかがだろうか。
- 作者: 山本巧次,佐久間真人
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/09/21
- メディア: 文庫
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中町信『五浦海岸殺人事件』(トクマ・ノベルズ) ★★
“夫が殺人犯!?” 推理作家の三城雅子は途方に暮れた。夫の久男はゴルフコンペで茨城県五浦海岸へ一泊旅行に出かけていたが、同行した高校時代からの友人・長久保実が強盗事件を起こす。五浦海岸のリゾートマンションに来ていた大会社の社長・柿沼徳次郎を襲い2000万円を強奪、打ち合わせでリゾートマンションに来ていた女性編集者・小室美加を拉致して彼女の車で逃走中に崖から転落死してしまった。ところが、あるべきはずの金はなく、小室は扼殺されていた。地元警察は久男が共犯者と睨み厳しく追及する。夫の無実を信じたい雅子だったが、第2、第3の殺人が起き、状況はますます不利になっていく――。
二時間サスペンスドラマのような雰囲気で、早い段階で犯人と真相が分かって(見えて)しまう。この時期の中町作品らしさに溢れた駄作なので、中町ファンだけが読めばいい作品です。
(2003/7/11記・改稿)
- 作者: 中町信
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1995/07
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辻真先『北海道・幽霊列車殺人号』(光文社文庫)★★★
16年前、鉄道事故で死んだ少年。彼は本当は殺されたのではないか? 真相を乗せ、幽霊列車は廃線跡を走る——。
「トラベルライター瓜生慎シリーズ」第3期の第1作。
大掛かりな幽霊列車のトリックはアンフェアすれすれだが、16年前の事件の真相が明らかにされた後の展開には驚く。とってつけたような感じもするが、慎の簡潔な謎解きが楽しめるので良し。それにしても、哀しいラストだ……。
ところで、堂本編集局長って専務になったんじゃ?
(2002/8/17記・改稿)
- 作者: 辻真先
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2002/08
- メディア: 文庫
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