購入本

41.リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク『レヴィンソン&リンク劇場 突然の奈落』(扶桑社ミステリー)
 →日本オリジナル編集第2弾。10編収録。解説は小山正。

深谷忠記『横浜・長崎殺人ライン』(光文社文庫)★★★

十月二十九日の午後十時すぎ、横浜・港の見える丘公園で男の絞殺死体が発見された。二日後、被害者は陽光電器産業のエリート社員・久保木裕一と判明する。神奈川県警捜査一課の薬師寺警部補は久保木のライバル社員・谷島俊之に疑惑の目を向けるが、彼には上司の小幡洋樹の家で徹夜で論文を仕上げていたという鉄壁のアリバイがあった。十一月四日、久保木の葬儀に参列するため関係者たちは長崎に飛んだ。その夜、「ホテル・ニュー長崎」で第二の殺人が起きる――。
黒江壮&笹谷美緒シリーズ第8作で、「殺人ライン」シリーズ第3作。
時間誤認トリック一本で勝負した、深谷版「五つの時計」と言うべき作品。鮎川哲也の名作「五つの時計」では小道具と手数の多さで〝時間の魔術〟を実現させたが、本作は超シンプルなトリック(サブトリックを含めて深谷らしさ全開)で実現させているのは評価できる。また、アリバイ工作が諸刃の剣になるという本シリーズではお馴染みの展開も綺麗に決まっていて良い。
本作の犯人は卑屈な人間で、あるキャラクターが不憫でならなかった。

貴戸湊太『認知心理検察官の捜査ファイル 検事執務室には嘘発見器が住んでいる』(宝島社文庫)★★★

結婚式の最中に花婿を殺した花嫁、犬猿の仲の末期癌患者を殺した男、同棲している恋人を殺した動機を「月が綺麗だったから」と供述する作家、サンフランシスコへ高飛びする幼女連続殺人事件の容疑者を乗せた飛行機内で起きた殺人――検事執務室に住む変わり者の検察官・大神祐介が認知心理学を駆使して真の動機を暴く。
安楽椅子探偵ホワイダニットの連作集。
動機・事件の構図はとてもわかりやすいが社会派テーマや人間ドラマを上手く絡ませており、連作として最終話のパターン崩しが効果的になるように構成されているのも良い。
シリーズ化するのであれば第2弾はもう少し謎解きの難度を上げてほしいかな。

骨のあるImitator 7手 第2問

骨のあるImitator 7手 第2問(『WFP』第166号)

【協力詰(ばか詰)】
双方協力して最短手数で受方玉を詰める。透かし詰は詰みと認められない。
【Imitator(■または I)】
着手をした時、その着手と同じベクトルだけ動く駒。攻方・受方どちらにも所属しない。Imitatorが駒を飛び越えたり、駒のある地点に着手したり、盤の外に出たりするような着手は禁止。これは王手の判定にも適用される。利きを持たず、性能変化ルールでも性能変化の対象にならない。

 
【手順】
54銀成[I67]、45桂[I79]、11馬[I78]、44玉[I67]、21馬[I77]、35馬[I55]、43馬[I77]まで7手。
【コメント】
2016年7月12日完成。