謹賀新年

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

「ちょっと早い2023年年賀詰作品展」(『WFP』第174号)で出題中の作品。
<ルール説明>
【二玉詰(または多玉詰)】
複数の玉を使用する。どの玉に対しても王手放置は禁手。王手を外せなければ詰み。
【協力自玉詰(ばか自殺詰)】
双方協力して攻方玉を詰める。
【点鏡】
55に関して点対称な位置にある2つの駒は、敵味方関係なく互いにその性能が入れ替わる。なお、行き所のない駒の禁則は適用されない。
【All-in-Shogi】
双方とも自分の手番の時に相手の駒を動かすこともできる。敵玉を王手がかかる位置に動かしてもいいし、敵の持駒を打ってもいい。ただし、双方とも1手前の局面に戻すような着手は禁手とする。
(補足)
1)相手側の駒を動かすとき、自分側の駒を取らせることはできるが、相手側の駒を取らせることはできない。
2)相手側の駒で自分側の駒を取らせたとき、その駒は相手側の持駒となる。
3)自玉を取らせる手は反則。

鉄ミス&トラミス大賞2022

《鉄ミス&トラミス大賞2022》受賞作

〈新刊・新作部門〉
 辻真先/戸田和光=編『思い出列車が駆けぬけてゆく 鉄道ミステリ傑作選』(創元推理文庫

〈旧作部門〉
 なし
 次点:西村京太郎『寝台特急ブルートレイン)殺人事件』(光文社文庫

〈特別賞〉
 オール讀物責任編集『西村京太郎の推理世界』(文春ムック)

〈新刊・新作部門〉は辻真先『思い出列車が駆けぬけてゆく』。前半はシリーズ物の短編、後半はノンシリーズ短編と綺麗に分かれた短編集。収録作の中では「オホーツク心中」「轢かれる」が双璧。ともにラストで新たな一歩を踏み出す作品だが、温度差が激しい(笑)。
今年は〈旧作部門〉の受賞作はなし。西村京太郎『寝台特急ブルートレイン)殺人事件』を次点にした。本格としては出来は良くないが、サスペンスとしてはかなり面白い作品。
他には深谷忠記『横浜・長崎殺人ライン』が印象に残っている。鮎川哲也「五つの時計」に挑んだ佳作だった。
〈特別賞〉は『西村京太郎の推理世界』。このジャンルに絞った本ではないが、遺作『SLやまぐち号殺人事件』のメモや著作リストなど資料も充実していて読み応えのあるムック本だった。盟友・山村美紗との対談(襲撃事件後に行われたもの)は笑ってしまった。
トラミスの帝王よ、永遠に。

※「鉄ミス&トラミス大賞」とは、この1年に読んだ鉄ミス&トラミスの中からお薦め作品を勝手に顕彰するものです。なお、受賞しても現在制作中(完成時期未定)の鉄ミス&トラミス本で紹介するとは限りません。

峰隆一郎『西鹿児島発「交換殺人」特急』(講談社文庫)★★★

寝台特急はやぶさ」車内で立見史子が農薬を盛られて殺された。それから1時間後、横浜山下公園で反町悠介が射殺された。2つの事件の容疑者である男女には完璧なアリバイがあったが、交換殺人と考えればアリバイはないことになる。反町の妹の依頼を受け、ごろつき探偵・鏑木一行は調査を開始した――。
1990年7月刊。ごろつき調査員・鏑木一行シリーズ第1作。
佳多山大地『トラベル・ミステリー聖地巡礼』で「峰のこのジャンルにおける代表作と推したい」「交換殺人テーマを語るうえでも読み落とせない佳品」と紹介されているので期待して読み始めたが……時刻表トリックは添え物で男女の心理に焦点を当てたいつもの峰隆ミステリだった。
ネタを割ることになるので詳しいことは書けないけれど尽くツボを外しているので、佳多山さんの評には首を傾げざるをえない。

辻真先/戸田和光=編『思い出列車が駆けぬけてゆく 鉄道ミステリ傑作選』(創元推理文庫)★★★★☆

12編収録。