津村秀介

津村秀介『伊豆の死角』(講談社文庫)★★

『小説NON』に1988年~92年にかけて発表した十篇を収録した第4短編集(初刊=1993年2月)。 文庫版のあらすじに旅情ミステリー傑作集とあるが、事件小説集と言うのが正しい。 収録作の殆どに金・不倫・セックスが絡み、淡泊な文体で書かれているため続けて読…

津村秀介『京都着19時12分の死者』(講談社文庫)★★☆

下り新幹線ひかり253号での中年女性毒殺事件、京都のホテルでの前科四犯のヤクザ者の毒殺事件、2つの現場から同じ渦状紋が検出された。中年女性が急行アルプス5号で信濃大町へ向かっていたことが判明し、捜査のため上京した堀内部長刑事を待っていたのは新…

津村秀介『仙山線殺人事件』(BIG BOOKS)★★☆

将棋の世界では、賭け将棋で生計を立てている者のことを「真剣師」と呼んでいる。宝塚温泉と仙台・天童で同日に真剣師の大会が開催されることになり、横光裕治と三木正利は宝塚温泉の大会に、戸倉元太と久我悦雄は仙台・天童の大会に出場するため、横浜から…

津村秀介『時間の風蝕』(集英社文庫)★★★

十月一日、新横浜のホテル・モリシャス。黒いスーツの女は強い西風の向こう側からやってきた。三十分後、女はホテルを去り、三〇六号室に男の毒殺死体が残されていた。被害者は宿泊カードから杉野康則と思われたが、彼の代理で女と会うことになっていた小玉…

津村秀介『紅葉坂殺人事件』(ケイブンシャ文庫)★★★

雨が降る名古屋で、大塚貿易社長・大塚国蔵が二千五百万円を強奪された。ルポライターの浦上伸介は、この事件を「夜の事件レポート」で採り上げるため調査を開始。大学の先輩で『毎朝日報』神奈川県警記者クラブのキャップ・谷田実憲から情報を貰い、警察が…

津村秀介『黒い流域』(ケイブンシャ文庫)★★☆

集中豪雨で増水した津久井渓谷・相模川の河原で、大東洋建設常務の太田義行の妻・道子の変死体が発見された。犯行方法から犯人は左利きと推察され、捜査本部は左利きで二億円の資金流用や愛人が発覚し会社と家庭に問題を抱えていることが分かった義行の犯行…

津村秀介『瀬戸内を渡る死者』(BIG BOOKS)★★★☆

『週刊レディー』の記者・北川真弓は四国取材の途中、屋島で女性の絞殺死体を発見した。被害者は上野で夫・幹夫とスナックを経営している滝田陽子と判明。胃の内容物から死の直前に焼き肉店に立ち寄ったと思われ、犯人は発見現場近くの廃屋になっている彼女…

津村秀介『山陰殺人事件』(青樹社文庫)★★

横浜で連続婦女暴行殺人事件が起きていた。モンタージュから同一犯であることが示され、残された体液から犯人はA型であることが判明する。第四の事件から三時間後、保土ヶ谷駅前の派出所に二人の酔っ払いが現れ、そのうちの一人が「誰かに三度も殺されかけた…