芦辺拓

芦辺拓『大鞠家殺人事件』(東京創元社)★★★★★

昭和18年、大阪・船場の化粧品商《大鞠百薬館》の長男に嫁いだ陸軍軍人の娘・中久世美禰子は夫・多一郎が上海へ出征したことにより、大鞠家の人々と同居することになった。やがて彼女は惨劇に巻き込まれ――。 傑作。 戦時下でしか成立しない物語であるのが素…

芦辺拓『名探偵総登場 芦辺拓と13の謎』(行舟文化)★★★★★

バラエティに富んだ作品が揃った自選短編集になっています。まさに「芦辺ワールド見本市」。ファンは勿論、芦辺作品を読んだことのない人にもお薦めです。以下、Twitterに投下した収録作の簡単な感想。「芦辺探偵事務所」所員名簿 森江春策、童顔すぎるよう…

芦辺拓『鶴屋南北の殺人』(原書房)★★★★☆

――本格ミステリは、犯人のなり手がいなくなってからが勝負! (「あとがき――あるいは好事家のためのノート」より) 「わたしが取り返してほしいものとは……鶴屋南北なのです」国劇協会調査研究センター学芸フェロー・秋水里矢の依頼を受け、京都へ向かった森…

『トリックより他に神はなし 芦辺拓華甲記念文集』(芦辺拓記念誌製作委員会)

還暦を記念して製作された同人誌で、エッセイ・未発表小説・雑誌扉絵挿絵ギャラリー・漫画・評論・イラスト・全作品レビューと盛り沢山。巻頭カラー掲載の「芦辺ワールド 主要人物関連の図」(絵:えのころ工房)は、森江春策をはじめとする芦辺作品でお馴染…

芦辺拓『異次元の館の殺人』(光文社)★★★★

砕け散った世界を、統一せよ。 (帯の惹句より) 名城政人検事が四維ヶ原学園の科学教師・成宮明日美を殺害したとして逮捕された。それは検察内部の不正の証拠つかみ告発しようとした寸前のことだった。彼は一審で無実を勝ち取るも上級審で有罪が確定し収監…

芦辺拓『ダブル・ミステリ 月琴亭の殺人/ノンシリアル・キラー』(東京創元社)★★★☆

大胆にして精緻、一世一代の大仕掛け これぞ職人芸――現代本格ミステリの精華 (帯の惹句より) 「月琴亭の殺人」 素人探偵にして刑事弁護士・森江春策は幻の映画「黄金夢幻城」の上映会に招待され、“日本のモン・サン・ミシェル”天眼峡に建つ《月琴亭ホテル…

芦辺拓『七人の探偵のための事件』(早川書房)★★★★☆

旧名鳴町、平成の大合併のあとは次萩市名鳴地区。統廃合で警察署がなくなったこの町で『人死に』が起こった。警察は何の捜査もせず、業を煮やした青年団員たちは大戸島佐市郎爺さんの助言で人死に慣れした探偵たちを雇うことにする。ところかわって東京・日…

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』(YA! ENTERTAINMENT)★★★☆

海外体験と文化交流のボランティアのため、南シナ海に浮かぶ島国サルマナザール共和国へやってきた武蔵旭丘女子学園の生徒38人。第二の都市ゲロンバン・ブルマサラのホテルに滞在していた24人は銃声で目を覚まし、ジェプン・ジャバタン村に派遣されていた7人…

芦辺拓『金田一耕助VS明智小五郎』(角川文庫)★★★★☆

江戸川乱歩と横溝正史へのオマージュ作品、贋作(パスティーシュ)を集めた作品集。7篇収録。 今回は4篇のあらすじとメモ。残り3篇は後日。 「明智小五郎対金田一耕助」(初出=『明智小五郎対金田一耕助 名探偵博覧会II』) 昭和十二年。下関発東京行きの急…

芦辺拓『奇譚を売る店』(光文社)★★★★

“――また買ってしまった。”からはじまる六つの古書怪異譚を収録した、芦部先生初の怪奇幻想連作集(初の怪奇幻想短篇集と紹介しようと思っていましたが、『探偵と怪人のいるホテル』がありましたね)。全作発表時に読んでいましたが、こんなに薄い本になると…

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』最終回

ラジャ・クイール村に向かう反乱軍。長老の号令の下、村の秘密兵器が火を噴く。一方、機関車《プリンス・オブ・バビラリー》と“赤トンボ”は、サルマナザール共和国の首都ベサール・セルンに近づきつつあった。少女たちは最後の作戦を決行する――。 大団円。最…

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』第9回

森に停車した機関車《プリンス・オブ・バビラリー》 。そこで少女たちを待っていたのは――。 遂に全員集結(問題児3人組のことを忘れていたのは秘密)。大阪弁に驚いたが、よく考えてみると十分ありえることなんだよな。それにしても軌匡の登場・活用は盲点だ…

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』第8回

落ちる少女たち、走る少女たち、待つ少女たち。そして、ジェットコースターに乗る少女たち――。 鉄道組と古城組が合流。カー&トレインチェイスは(一部グロがあるけど)映像で観てみたいですね。

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』第7回

明日香らはジェプン・ジャバタン村の倉庫に監禁されていた5人の救出に成功し、村を脱出。お屋敷の中では、花城さくらたち7人は“幽霊”に遭遇し……。一方、20人を乗せた列車に珍客が現れる――。 物語はラストへ向かい始めたが、一筋縄ではいかない様子。少女たち…

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』第6回

《プリンス・オブ・バビラリー》はディーゼルエンジンを快調に響かせて走り続ける。運転席にいる2人を除く18人は歌う。トラック組の4人も、夜の森を駆け抜ける少女版銀輪部隊の3人も、ジェプン・ジャバタン村の診療所から引きずり出され倉庫に閉じ込められて…

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』第5回

反乱軍から逃げる27人は、間一髪、動き出した機関車《プリンス・オブ・バビラリー》ヘ乗り込み脱出に成功する。一方、雑賀くるみたち7人は、見つけた屋敷に入り込み探検をはじめた。神津明日香はジェプン・ジャバタン村へ向かった4人を救出するため列車組と…

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』第4回

キニ・カンプン駅にトラックで辿り着いた武蔵旭丘女子学園の27人を待っていたのは、一編成の列車だった。休憩と食事を採ることになったが、反乱軍がこちらへ向かっていることが分かる。一方、ジェプン・ジャバタン村に着いた4人は、村が無人であることに衝撃…

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』第3回

雑木林で怪我をした少女サリファと出会い、彼女をジェプン・ジャバタン村の診療所へ連れて行くため二手に分かれたことをトラック移動組に語った明日香。別れた4人に危険を知らせようとする彼女を杏奈は引き止める。その頃、4人は村のほど近くまで到着してい…

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』第2回

ホテルを脱出した24人は、兵士たちの注意を廃工場から逸らすことに成功したものの、今後の行動についての議論がまとまらずにいた。一方、ジェプン・ジャバタン村に派遣されていた7人は、自転車で町へ向かっていた――。 定番のトリックが登場。あのトリック、…

芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』第1回

海外体験と文化交流のボランティアのため、南シナ海に浮かぶ島国サルマナザール共和国へやってきた武蔵旭丘女子学園の生徒38人。この国の第二の都市ゲロンバン・ブルマサラのホテルに滞在していた24人は、ある朝、銃声で目を覚ます。異変に気付いた彼女らは…

芦辺拓『黄金夢幻城殺人事件』(原書房)★★★★

少年名探偵と怪人どくろ男爵、時空を越えて対決す!(帯の惹句) 「物語」を愛する作者から、「物語」を愛する人たちへの贈り物――それが『黄金夢幻城殺人事件』。まずは収録作の粗筋とメモ。 「黄金夢幻城」(書き下ろし) 夕蝉姫を捜す旅に出た若き剣士・斑…

土曜ワイド劇場『弁護士・森江春策の事件 殺人同窓会』

原作=芦辺拓 脚本=安井国穂 監督=山本邦彦 出演=中村梅雀(森江春策)、若村麻由美(菊園綾子)、角替和枝(町田澄代)、岩崎ひろみ(新島ともか)、金田明夫(高柳明信)、竜雷太(菊園喜助)、羽場裕一(長谷部直樹)、春田純一(東勇作)、麻丘めぐみ(名…

芦辺拓『綺想宮殺人事件』(東京創元社)★★★★☆

『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』に続く 世紀の〈奇書〉、ついに降臨。(帯の惹句) 琵琶湖畔にそびえる《綺想宮》を訪れた刑事弁護士にして素人探偵の森江春策。出迎えたのは、二十重亜綺楽(はたえ・あきら)という麗人の世話係。《…

芦辺拓「ヴェルデンツ大公国の密室」(『小説NON』2010年5月号)

「迷い家伝説」事件(『探偵宣言』収録)で出会った新谷未来生(しんや・みきお)から助けを求める手紙を受け取り、中央ヨーロッパの小国ヴェルデンツ大公国の首都ルナ・エピーネにやって来た森江春策。森江とこの国には浅からぬ縁があった。というのも、大…

土曜ワイド劇場『弁護士・森江春策の事件 裁判員法廷』

原作=芦辺拓「自白」(文藝春秋刊『裁判員法廷』所収) 脚本=坂田義和 監督=山本邦彦 出演=中村梅雀(森江春策)、若村麻由美(菊園綾子)、金田明夫(高柳事務官)、角替和枝(町田澄代)、竜雷太(菊園喜助)、岩崎ひろみ(新島ともか)、田山涼成(藁山花…