辻真先『零下四十一度の義経伝説』(光文社文庫)★★★

義経公終焉の地は涙別なり――北海道涙別町で源義経にまつわる古文書が発見された。過疎に悩む町としては絶好のチャンスとばかりに「義経終焉の地」として町興しを計画。瓦プロの編集者・服部健太郎は町からの依頼でパンフレットを製作するため、小説家志望の妻・知香とともに涙別町へと向かった。そこで彼らを待ち受けていたのは、義経からの脅迫状、義経の亡霊騒動、そして氷の洞窟内での殺人だった。
※展開をばらしています。
旅ゆく編集者・服部健太郎シリーズ最終作。いつも思うのだけど、辻先生は少女を描かせると上手いよなぁ。早い段階で古文書発見は狂言だと判明するので、義経北行伝説を扱った歴史ミステリを期待するとガッカリしますが、軽本格として十分楽しめます。甲冑を着た義経の亡霊のトリックは、チャチで結構好き。「あとがき」を読むまで涙別町が架空の町だとは気付かなかった……。(2005/1/11記)

零下四十一度の義経伝説 (光文社文庫)

零下四十一度の義経伝説 (光文社文庫)