『ミステリマガジン』2010年11月号を拾い読み

『ミステリマガジン』2010年11月号(No.657)を拾い読み。
「米国暗黒小説全集発行計画 これがノワールの精髄だ!後篇」。全作とはいわないけど、半分くらいは翻訳されるといいな。10作の中ではデイヴィッド・グーディス“Cassidy's Girl”が一番読みたい。
小山正「北欧ミステリ徒然草。北欧5カ国のミステリ史をコンパクトに纏めているのは流石。北欧の本格ミステリ読みたいなー。
パレ・ローゼンクランツ「理にかなった行動」[英題]“A Sensible Course of Action”(1909年発表。パトリシア・クレイグ編“The Oxford Book of Detective Stories”収録)
 ホルスト警部補が警部のオフィスに入ると、美しい女性がいた。彼女はロシアのヘレナ・ヴォルコンスキー伯爵夫人。義弟のディミトリ・ヴォルコンスキー伯爵に命を狙われているので、保護してほしいという。困り果てた警部はホルストに彼女の面倒を見るよう命じる――。デンマークはじめてのミステリ作家による、コペンハーゲン警察のアイジル・ホルスト警部補シリーズの一編。ホルスト警部補はホームズの異郷のライバルとのことだが、この作品を読んで連想したのはシムノンのジュール・メグレ警視だった。クイーンがEQMMに訳載したという短篇も読んでみたいなぁ。本編の出来は普通ですかね。
皆川博子『DILATED TO MEET YOU ―開かせていただき光栄です―』(第3回)
 エレイン嬢、四肢を切断された少年、顔を潰された男、三体の屍体の解剖に取り掛かったダニエル・バートンと弟子たち。一時間後、〈盲目判事〉ことサー・ジョンが助手のアン=シャーリー・モアと彼女の助手のデニス・アボットと共に解剖教室を訪れる。エレイン嬢が砒素に侵されていたことがわかり、判事はダニエルに検視を依頼。残る二体の検視は、弟子たちが事件に関わっている可能性があるため他の医師にさせることになった――。エレイン嬢とネイサンの死因が明かされたが、分からない所が多いので今後も目が離せない。
芦辺拓『七人の探偵のための事件』(第5回)
 土地勘を養い状況の把握に努めるべく、獅子堂勘一警部補は峠道をサイクリングとしゃれこんでいた。一方、森江春策、平田鶴子、レジナルド・ナイジェルソープの3人は、本桜徹平を殺したかもしれない茅畑勉の死亡現場に向かっていた。獅子堂警部補が来た道を戻っていると、逆方向から見覚えのあるワゴン車とバイクがやって来る。勿論、その一行は森江たち。茅畑が死亡した事故が怪談めいて語られたのに興味を引かれ調べていた獅子堂警部補は、森江たちに事故の説明をするが、名鳴町で続発した事件の謎をさらに深めることになる。その頃、壇原真人、霧嶺美夜、七星スバルの3人は――。今回は「車の幽霊事件」の謎に挑んだわけだが、森江と同じ勘違いをしていたので獅子堂警部補の指摘に驚いた。事故の説明を読んでいる時に引っかかるものがあったけど、たいして気に留めなかったもんなぁ。平田鶴子に叙述トリック批判をさせたのは、何か裏があるのかな?(笑)。そして、第2回以降登場していない残り3名の現状報告があったけど、本筋とどう繋がっていくんだろう。ドミノ事件共々、先が見えない。
安井俊夫「建築視線」第5回エドマンド・クリスピン『消えた玩具屋』をネタに、どうやったら4時間で店内を改装できるかを考察。
石上三登志「トーキョー・ミステリ・スクール」第11回。イオン・プロと「007」映画。
高橋葉介「顔のない男」
 暗殺指令のカラクリ、そして驚愕の真相が明らかに――。連載漫画『顔のない女』第十一話。えー、どうなんのこれ。最終話が楽しみじゃ。
紀田順一郎「幻島はるかなり〈翻訳ミステリ回想録〉」第11回。大伴昌司とともに、旧『宝石』『マンハント』『ヒッチコック・マガジン』にライターデビュー。

ミステリマガジン 2010年 11月号 [雑誌]

ミステリマガジン 2010年 11月号 [雑誌]

消えた玩具屋 (ハヤカワ・ミステリ文庫 55-1)

消えた玩具屋 (ハヤカワ・ミステリ文庫 55-1)