『ミステリマガジン』2011年6月号を拾い読み

『ミステリマガジン』2011年6月号(No.664)を拾い読み。
辻真先「見てない目撃者」(放映日=2010年2月6日)
 『名探偵コナン』第565話の脚本。
北原尚彦「ビリー君の赤ひげ連盟事件」
 給仕のぼくが事務所の留守番をしていると、ハロルド・ウェルシュと名乗る紳士がホームズさんを訪ねてきた。ウェルシュさんは急いでいる様子。ホームズさんに正確に伝えることを約束して話を聞き出したぼくは驚いた。ウェルシュさんが語った事件は「赤毛連盟」とそっくりだったのだ――。マニアックなキャラを主人公に据えたホームズ・パスティーシュ。掌編。
ティーヴ・ホッケンスミス「煉獄の町からこんにちは!」Greetings From Purgatory!(初出=《EQMM》2009年2月号)
 サンフランシスコからテキサス州サンマーコスに移動することになったおれと兄貴。オークランドから出るいちばんのろい普通列車に乗車したおれたちは、またも列車強盗と出くわす――。〈荒野のホームズ〉シリーズ短篇第6作。このシリーズは本当に短篇も見事だなぁ。長篇もだが、短篇集の翻訳も期待したい。
皆川博子『DILATED TO MEET YOU ―開かせていただき光栄です―』(最終回)
 エヴァンズ殺しの真犯人が明らかになり、喜ぶダニエル・バートンと弟子たちだったが――。遂に最終回。二転三転する展開で畳み掛けるクライマックスに脱帽。意外と(といっては何だが)単純な仕掛け・真相なので盲点だった。哀愁漂うラストにしんみり。皆川先生のミステリ作品としては小ぶりだが、この時代が好きな人や海外ミステリファンは楽しめると思う。
高橋葉介「ミルク失敗(しくじ)る」
 生涯で一番大切な思い出を盗るため、怪盗ミルクはある男の中に入ったが――。「怪盗ミルク」第4話。哀しいなぁ。
石上三登志「トーキョー・ミステリ・スクール」第18回鈴木清順(日活)III。
安井俊夫「建築視線」最終回エラリー・クイーン『中途の家』を建築視線で眺める。へぇー、玄関の位置によって所属する町が決まるんだ。
紀田順一郎「幻島はるかなり〈翻訳ミステリ回想録〉」第18回荒俣宏との出会い、『怪奇幻想の文学』の企画が動き始める。

ミステリマガジン 2011年 06月号 [雑誌]

ミステリマガジン 2011年 06月号 [雑誌]

中途の家 (創元推理文庫 104-17)

中途の家 (創元推理文庫 104-17)