芦辺拓『スクールガール・エクスプレス38』(YA! ENTERTAINMENT)★★★☆

海外体験と文化交流のボランティアのため、南シナ海に浮かぶ島国サルマナザール共和国へやってきた武蔵旭丘女子学園の生徒38人。第二の都市ゲロンバン・ブルマサラのホテルに滞在していた24人は銃声で目を覚まし、ジェプン・ジャバタン村に派遣されていた7人は雑木林で怪我をした少女と出会い、滞在先から突然外に放り出された7人はジャングルを歩き古城で幽霊を見る。彼女たちは無事合流し、大使館のある首都ベサール・セルンへ辿り着くことができるのか――。
美少女キャラクターのタレント事業「AGC38」(本年5月末をもってプロジェクトが終了してしまいました)のメンバーが総出演する鉄道冒険小説。美少女たちが主役ですが、王道の少年冒険活劇そのもの。彼女たちがそれぞれの特技を活かし危機を乗り越えていく姿はとてもかっこよく、もうひとり(?)の主役である機関車の使い方が素晴らしいです。東南アジアが舞台であることに必然性を持たせているのも良いですね。王道シーン連発の終盤はめちゃくちゃ燃えます。
赤目画伯のイラストは好みの絵柄でたいへん気に入りました。キャラクター小説・ヤングアダルト小説ですが、大人でも楽しめる娯楽作なので、興味のある方は是非ともご一読を。
連載第1回の感想で「芦辺版『謀殺の弾丸特急』を狙っていると思われる」と書きましたが、望月三起也『秘密探偵JA』の一編「脱走列車」が発想のルーツだとTwitterで教えていただきました。

スクールガール・エクスプレス38 (YA! ENTERTAINMENT)

スクールガール・エクスプレス38 (YA! ENTERTAINMENT)