芦辺拓『異次元の館の殺人』(光文社)★★★★

砕け散った世界を、統一せよ。
(帯の惹句より)

名城政人検事が四維ヶ原学園の科学教師・成宮明日美を殺害したとして逮捕された。それは検察内部の不正の証拠つかみ告発しようとした寸前のことだった。彼は一審で無実を勝ち取るも上級審で有罪が確定し収監される。弁護団が再審請求に向けて動き出し、菊園綾子検事は証拠の分析を依頼するためJRIPS(日本光子科学研究所)を訪れた。その帰り道、彼女は好敵手の弁護士・森江春策に誘われ《悠聖館》に立ち寄る。男爵邸だった《悠聖館》が現在、四維ヶ原学園と関連グループの人たちのための保養施設として使われており、滞在しているのは学校関係者と知った菊園検事は宿泊し、非公式な調査を行うことを決意。その夜、JRIPSで謎の暴走事故が起き、《悠聖館》では四維ヶ原学園の養護教諭・箱中和恵が密室状態の客室で殺された。菊園検事が容疑者たちの前で推理を披露した直後、彼女の身に異変が起こる――。
森江春策シリーズ。

異次元の館の殺人

異次元の館の殺人

異次元の館の殺人 (光文社文庫)

異次元の館の殺人 (光文社文庫)