峰隆一郎『殺人特急(ブルートレイン)逆転の15分』(廣済堂文庫)★

寝台特急「さくら」で、小銭徳次が蝮毒を注入され殺された。司法浪人で弁護士事務所調査員をしている息子の亨は、大学の同級生で警視庁捜査一課の平栗良三と捜査を開始し、徳次の下の席の女が京都で入れ替わった気がするとの証言を得る。疑惑の女・赤座加津子から話を聞いた亨は、彼女は犯人に利用されただけと確信、犯人は次に彼女を殺すと考える。加津子から「さくら」に乗ると連絡を受け、亨と平栗は車内で彼女を見張るが隙を突かれてトイレで射殺されてしまい、彼女の死体は車内から消失する。二日後、捜査本部が設置され本格的な捜査が開始された矢先、「さくら」で公民党委員長神崎八重の秘書・百木英太郎が蝮毒を注入されて殺され、井の頭公園の池から加津子の死体が発見される。徳次の遺品の扇子に書かれていた漢詩からある事故が浮かび上がり、東城大学講師・見城美樹が容疑者として浮上する――。
時代小説家・峰隆一郎によるトラベルミステリーの10作目(ノンシリーズ作)。1988年2月刊。
意外な犯人を演出しようとする姿勢と犯人の狙いは悪くないのだが、プロットが破綻していては話にならない。また、蝮毒を使った理由はあれでよかったのか確定していないのもダメ。良かったのは、死体消失トリックくらい(と言っても、鉄道豆知識なので評価はできないが)。
読む必要なしの駄作。