草野唯雄『北リアス海岸殺人事件』(光文社文庫)☆

家族を日本に残しブラジルに単身入植した井出義一は農園で共同生活をする岩手県出身の仲間6人と国営サッカーくじを購入し、一等に当選した。当選金(日本円で15億円)の使い道を相談していると睡魔に襲われ、目覚めると4人が殺されていて、彼と阿部勇作は重傷を負うが一命を取り留めた。家から金の一部と凶器が発見され逮捕されるが一貫して無実を主張し、阿部が犯人だと訴えたものの聞き入れられず死刑判決が下る。金の在り処を自供するまで刑の執行が停止されていたが、しびれを切らした当局は追及を打ち切り、刑を執行するため移送、隙を突いて脱走した彼は死んだ日系人の国籍を買い帰国。息子の二郎、殺された仲間4人の息子(貝塚正平、大野幸男、江崎茂、宇野政明)を集め、6人で岩手の新ホテル王となった阿部に帝国ホテル所有の一等地を売りつける詐欺を計画、順調に進んでいたが義一のミスで失敗してしまう。責任を感じた義一は単身阿部の元に乗り込み金を出させることを約束させるが、その帰り道に殺される。その後もグループのメンバーが次々と殺されていく――。
草野唯雄のご当地ミステリー。
コン・ゲームは60ページ程で終わり、それ以降はサスペンスになる。中盤までは凡作レベルだったが、終盤で一気に駄作モードに突入……。
とにかく犯人の正体が酷く、伏線が貼られている気配を感じられなかった時点で覚悟していたが、「これをやっちゃあおしまいよ」レベルのダメさで目も当てられない。そして、犯人が判明してからの2時間サスペンスドラマ的な展開は失笑もの。
駄作なので、読む必要はありません。

北リアス海岸殺人事件 (光文社文庫)

北リアス海岸殺人事件 (光文社文庫)