辻真先『崩壊 地底密室の殺人』(カッパ・ノベルス)★★☆

駿河湾震源とするマグニチュード8の大地震に見舞われた東京。オープンを10日後に控える六本木に建造された大深度構造物「ジオトピア」の内部を弟夫婦二組に案内していた三ツ江建設の五十嵐励は、地下23階で目を覚ます。地下30階から地下水が迫る中、何も見えない状態で地上を目指す彼は背中にナイフの刺さった女性の死体を発見。被害者は、犯人は誰なのか。漆黒の闇を手探りで進む彼の精神は、次第に追い詰められてゆく――。
ジオトピア内部の励パート、ジオトピアの外の美夜・迫母子パート、2つのパートが次第に繋がっていく形式のサスペンス長編。
単発作であるため、辻ミステリの「ドライでダークな性質」が直に感じられるようになっている。真っ暗闇の世界というシチュエーションを上手く活用している部分があるものの、面白い物語になっているかというと……。凡作ですね。

崩壊―地底密室の殺人 (カッパ・ノベルス)

崩壊―地底密室の殺人 (カッパ・ノベルス)

  • 作者:辻 真先
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1997/05
  • メディア: 新書