山本巧次『花伏せて 江戸の闇風 二』(幻冬舎時代小説文庫)★★★

常磐津の文字菊師匠ことお沙夜は、悪人から金を掠め取る闇の仕事師の頭領という裏の顔を持つ。今回の標的は、大掛かりな詐欺で商家から大金を騙し取り破滅させる町名主・間島新左エ門と菓子屋の主人で金貸しの裏稼業をしている一文字屋惣兵衛。火盗改が仕事に乗り出したお沙夜一味の存在に気付き、動き始め――。
〈江戸の闇風シリーズ〉第2作。
お沙夜一味の手口は前作とほぼ同じなのが痛い(コン・ゲームの要素を持つ作品なのだから工夫してほしい)。しかし、今回はこの手口にした理由があり、その点に関しては感心した。
また、前作同様ラストに有名人が登場し、お沙夜の過去の一端が明らかになる。彼女が彼らとどう対峙していくのか、今後の展開から目が離せない。