山本巧次『江戸美人捕物帳 入舟長屋のおみわ』(幻冬舎時代小説文庫)★★☆

北森下町にある入舟長屋の大家の娘・お美羽は美人だが女丈夫との評判のせいか二十一歳になっても縁談がまとまらない。そんな彼女は店賃の取り立てや住人の世話をして大家の父・欽兵衛を助けている。ある日、長屋の住人で細工職人の栄吉から店賃の支払いを少し待ってほしいとお願いされる。理由を尋ねると、小間物商松葉屋に品物に難癖をつけられて手間賃を値切られ、喧嘩になり納品をやめたので金がないという。松葉屋を調べてみると、悪い噂が絶えない店のようで――。