山本巧次『江戸美人捕物帳 入舟長屋のおみわ 夢の花』(幻冬舎時代小説文庫)★★☆

霜月。北森下町にある入舟長屋の大家の娘・お美羽は、店子のお喜代から隣に住む指物師の長次郎が帰ってこないと相談された。十日後、長次郎は戻ってきたが様子がおかしい。問い詰めると、名も知らぬ女に誘われ屋形舟で浅草の北にある家に行き床に就いたが寝てしまい、起きたら隣で女が死んでいた。4人の男に脅され箪笥を作り、解放されたという。彼女は長屋に住む浪人・山際と長次郎の弟弟子・弥一とともに調査を開始した――。
〈入舟長屋のおみわ〉シリーズ第2作。
このシリーズならではの〝何か〟がないので、可もなく不可もない普通の時代小説でしかないのが痛い。山本の純粋な時代小説のシリーズなら、コン・ゲームの〈江戸の闇風〉シリーズの方がまだましだ(このシリーズにも、ある問題があるが)。