松嶋智左『女副署長 緊急配備』(新潮文庫)★★★☆

日見坂署事件(前作参照)で管理者責任を問われ、佐紋署に左遷された田添杏美警視。赴任して間もなく、隣接署管内でひったくり事件が発生し緊急配備を敷いた最中に山間部で女性の死体が発見された。18年ぶりの殺人事件に署内が騒然とする中、港で警備部の巡査が意識不明の重体で発見される――。
〈女副署長・田添杏美〉シリーズ第2作。
前作から二ヵ月後に起きた事件が描かれ、左遷された杏美とは逆に県警捜査一課に栄転した「グリズリー」こと花野警部が再登場するのが嬉しい。
本作はストレートな物語になっているので前作のように様々な趣向は凝らされていないが、群像劇の密度が上がっていて終盤は前作以上に熱い。また、杏美の立ち位置が前作と対になっているのも上手いと思う。
次作では杏美がどのような事件・事態に挑むのか、楽しみでならない。