竹本健治選『変格ミステリ傑作選【戦前篇】 』(行舟文庫)★★★★★

漱石・谷崎・芥川・久作・甲賀三郎地味井平造渡辺温浜尾四郎・乱歩・海野・小栗・木々・川端・正史・十蘭による戦前の傑作15編に加え、同時代の中国の短編「真偽の間」(孫了紅)を収録した変格ミステリ・アンソロジー
甲賀「黒衣を纏う人」・川端「散りぬるを」・孫了紅「真偽の間」の3編が初読。既読のものは久しぶり(30年前後ぶりくらいかも)に読んだが、内容を覚えていてもとても面白く読んだ。ベストを選ぶとしたら、渡辺温「父を失う話」だろうか。
論考も面白く、特に劉臻「中国での変格ミステリの受容史」は勉強にもなった。
ハズレが一つもない傑作揃いのアンソロジー。強くお薦めいたします。