貴戸湊太『認知心理検察官の捜査ファイル 検事執務室には嘘発見器が住んでいる』(宝島社文庫)★★★

結婚式の最中に花婿を殺した花嫁、犬猿の仲の末期癌患者を殺した男、同棲している恋人を殺した動機を「月が綺麗だったから」と供述する作家、サンフランシスコへ高飛びする幼女連続殺人事件の容疑者を乗せた飛行機内で起きた殺人――検事執務室に住む変わり者の検察官・大神祐介が認知心理学を駆使して真の動機を暴く。
安楽椅子探偵ホワイダニットの連作集。
動機・事件の構図はとてもわかりやすいが社会派テーマや人間ドラマを上手く絡ませており、連作として最終話のパターン崩しが効果的になるように構成されているのも良い。
シリーズ化するのであれば第2弾はもう少し謎解きの難度を上げてほしいかな。