鉄ミス&トラミス大賞2022

《鉄ミス&トラミス大賞2022》受賞作

〈新刊・新作部門〉
 辻真先/戸田和光=編『思い出列車が駆けぬけてゆく 鉄道ミステリ傑作選』(創元推理文庫

〈旧作部門〉
 なし
 次点:西村京太郎『寝台特急ブルートレイン)殺人事件』(光文社文庫

〈特別賞〉
 オール讀物責任編集『西村京太郎の推理世界』(文春ムック)

〈新刊・新作部門〉は辻真先『思い出列車が駆けぬけてゆく』。前半はシリーズ物の短編、後半はノンシリーズ短編と綺麗に分かれた短編集。収録作の中では「オホーツク心中」「轢かれる」が双璧。ともにラストで新たな一歩を踏み出す作品だが、温度差が激しい(笑)。
今年は〈旧作部門〉の受賞作はなし。西村京太郎『寝台特急ブルートレイン)殺人事件』を次点にした。本格としては出来は良くないが、サスペンスとしてはかなり面白い作品。
他には深谷忠記『横浜・長崎殺人ライン』が印象に残っている。鮎川哲也「五つの時計」に挑んだ佳作だった。
〈特別賞〉は『西村京太郎の推理世界』。このジャンルに絞った本ではないが、遺作『SLやまぐち号殺人事件』のメモや著作リストなど資料も充実していて読み応えのあるムック本だった。盟友・山村美紗との対談(襲撃事件後に行われたもの)は笑ってしまった。
トラミスの帝王よ、永遠に。

※「鉄ミス&トラミス大賞」とは、この1年に読んだ鉄ミス&トラミスの中からお薦め作品を勝手に顕彰するものです。なお、受賞しても現在制作中(完成時期未定)の鉄ミス&トラミス本で紹介するとは限りません。