深谷忠記『弥彦・出雲崎殺人ライン』(徳間文庫)★★☆

四月一日午後九時過ぎ、出雲崎の石油公園で女性が「ヤヒコニ……イッテ……ウラ……」という言葉を遺して殺された。被害者は北信相互銀行長野西支店の貸付係・水原千秋で、約四千万円を着服した疑いで銀行から調査を受けていた所、姿を消していた。前日に宿泊した弥彦パークホテルでは偽名を使い、宿泊カードに東京板橋区の住所と電話番号をスラスラ記入していた。新潟県警捜査一課の藤沼警部補は上京してその住所をあたり、彼女が〈ONODERA〉という男と共同でマンションを借りていたことを掴む。五日には弥彦神社裏の杉林の中から〈KANAME・TIAKI〉と彫られたエメラルドの指輪が、六日には弥彦パークホテルの元従業員で喫茶店を経営する児玉メグミの絞殺体が弥彦公園で発見される――。
黒江壮&笹谷美緒シリーズ第9作で、「殺人ライン」シリーズ第4作。
アリバイ崩しを封印し、ダイイング・メッセージの解読一本に絞った水準作。
ダイイング・メッセージが解けたら即犯人が分かる」というシンプルさが良く、本シリーズお馴染みの鬼畜外道な犯人のキャラクターも良い。

購入本

37.方丈貴恵『孤島の来訪者』(創元推理文庫
 →〈竜泉家の一族シリーズ〉第2作。解説は若林踏。
38.吉行淳之介吉行淳之介掌篇全集』(中公文庫)
 →掌篇小説50篇を年代順に初集成。解説は荒川洋治

購入本&賞品

35.『将棋世界』2024年4月号(マイナビ出版
 →別冊付録『岸本裕真 詰将棋作品集』。

アマレン懸賞次の一手の賞品が届いた。ありがとうございます。
d36.海老原辰夫『海老原辰夫詰将棋手筋集5』(将棋を孫に伝える会)

購入本

32.松嶋智左『巡査たちに敬礼を』(新潮文庫
 →連作集。解説はあさのあつこ
33.アントニイ・バークリー『最上階の殺人』(創元推理文庫
 →〈ロジャー・シェリンガム〉シリーズ長編第7作。巻末に真田啓介のエッセイ、解説は阿津川辰海。新訳。
34.W・コリンズ、E・ネズビット他/夏来健次編『ロンドン幽霊譚傑作集』(同上)
 →13篇収録(11篇本邦初訳)。