ミステリー

モーム、フォークナー他/小森収=編『短編ミステリの二百年1』(創元推理文庫)★★★★

短編12編(全て新訳)に編者の評論を収録したアンソロジーの第1巻。リチャード・ハーディング・デイヴィス「霧の中」In the Fog ロンドンの社交クラブ〈グリル〉で語られる3つの物語は意外な結末を迎える――。 「クイーンの定員」に選ばれた(#29)短編集の…

津村秀介『時間の風蝕』(集英社文庫)★★★

十月一日、新横浜のホテル・モリシャス。黒いスーツの女は強い西風の向こう側からやってきた。三十分後、女はホテルを去り、三〇六号室に男の毒殺死体が残されていた。被害者は宿泊カードから杉野康則と思われたが、彼の代理で女と会うことになっていた小玉…

阿井渉介『湖列車連殺行』(講談社文庫)★★★

上野駅五番線に到着した上野・宇都宮間の快速電車「ラビット」から降りた木俣喜一の背から煙が上がり、まもなく火が吹き出し上半身が炎に包まれた。彼は一命を取り留めたが、病院で点滴の針を打ち変えられて殺される。犯行時刻、看護婦が青く光る女の幽霊を…

大山誠一郎『アリバイ崩し承ります』(実業之日本社文庫)★★★☆

5000円でアリバイ崩しを引き受ける美谷時計店の店主・美谷時乃が鮮やかにアリバイが絡んだ事件の謎を解き明かす、安楽椅子探偵物の連作集第1弾。『2019本格ミステリ・ベスト10』第1位。 「時計屋探偵とストーカーのアリバイ」(初出=『月刊J-novel』2014年1…

山本巧次『希望と殺意はレールに乗って アメかぶ探偵の事件簿』(講談社)★★☆

令和X年、講栄館の編集者・宝木啓輔は講栄館の中興の祖とも言われる伝説の編集者・沢口栄太郎から昭和を代表する推理作家・城之内和樹の探偵譚を聞くことになった。 昭和32年、鉄道の新線(恵那線)建設を陳情するため長野県清田村から上京していた村会議員…

上田廣『駅猫 鉄道推理短編集』(大正出版)★★★☆

火野葦平らと戦中文学で脚光を浴び、兵隊小説・鉄道小説・鉄道史伝を執筆、国鉄本社総裁室修史課嘱託として『日本国有鉄道百年史』の編纂にあたった上田廣(本名:浜田昇。1905年6月18日~1966年2月27日)による鉄道ミステリ連作集。「闇服」 出勤したわたし…

深谷忠記『0.096逆転の殺人』(光文社文庫)★★☆

毛布に包まれ性器がえぐり取られた全裸の男性の死体が江戸川に浮かんでいた。被害者はT大学大学院修士課程二年生・久保寺喬と判明する。その夜、バー「フラミンゴ」のママ兼オーナー・太田美那子のマンションに切断された彼の性器が送られてきた。二人に肉…

大谷羊太郎『越後七浦殺人海岸』(光文社文庫)★★☆

吉成行夫には秘密があった。高校3年生だった12年前、想いを寄せるクラスメイトの宮地亜以子が廃工場で男を殺し、その廃工場の塀を一瞬ですり抜けて逃げるのを目撃したのだ。地元の所沢で活魚和風料理店を経営する彼は、同級生の送別会で浦上専一から卒業後消…

深谷忠記『成田・青梅殺人ライン』(光文社文庫)★★☆

青梅市の鹿沼神社の参道脇にある児童遊園地で、私立共友学園の三年生・鳴神伸一が殺された。共友学園は共栄館大学の提携校。推薦枠が三名しかない医学部志望だった彼は、元恋人で推薦枠を争う篠口礼子の試験不正を探っていた。警察は彼女の家庭教師をしてい…

辻真先『崩壊 地底密室の殺人』(カッパ・ノベルス)★★☆

駿河湾を震源とするマグニチュード8の大地震に見舞われた東京。オープンを10日後に控える六本木に建造された大深度構造物「ジオトピア」の内部を弟夫婦二組に案内していた三ツ江建設の五十嵐励は、地下23階で目を覚ます。地下30階から地下水が迫る中、何も…

2019年鉄ミス&トラミス大賞

《2019年鉄ミス&トラミス大賞》 〈新刊・新作部門〉 佳多山大地『トラベル・ミステリー聖地巡礼』(双葉文庫) 〈旧作部門〉 甲賀三郎『妖魔の哄笑』(春陽文庫)※「鉄ミス&トラミス大賞」とは、この1年間に読んだ鉄ミス&トラミスの中からお薦め作品を勝…

F・W・クロフツ『列車の死』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

1942年、イギリスはドイツ軍の猛攻に苦しめられていた。戦時内閣は国内にある全ての放電管を、エジプトでロンメルと対峙するマッグレガーの部隊に送る極秘の物資輸送を決定する。臨時輸送列車が軸箱の故障により停車したため先行することになった後発の臨時…

草川隆 トラミス作品リスト

01.個室寝台殺人事件(1986年7月) 02.無縁坂殺人事件(1987年2月) 03.L特急「あずさ」の殺人(1987年3月) 04.寝台特急出雲殺人事件→寝台特急出雲 殺意の山陰路(1987年11月) 05.急行〈アルプス82号〉の殺人(1988年2月) 06.個室寝台「あさかぜ」…

中町信 著作リスト

01.新人賞殺人事件→新人文学賞殺人事件→模倣の殺意(1973年6月) ※第17回江戸川乱歩賞候補作『そして死が訪れる』改題 ※『模倣の殺意』の題で『推理』1972年9~11月号連載 02.殺された女→「心の旅路」連続殺人事件(1974年2月) ※第18回江戸川乱歩賞候補作…

矢島誠 トラミス作品リスト

01.霊南坂殺人事件(1988年1月) 02.「六大都市」Kの殺人(1988年5月) 03.鎌倉XX(ダブルエックス)の殺人(1988年11月) 04.名古屋殺人事件(1989年11月) 05.時の殺意 京都(1991年2月) 06.寝台特急「北斗星」0文字の殺人→「北斗星」0文字の殺…

阿井渉介『北列車連殺行』(講談社文庫)★★★

金沢発上野行きの寝台特急「北陸」から投げ出されたと思われる石の鉢を抱えた死体。ビルから転落死した男は燕の巣のかけらを握り、緑の炎に包まれていた。夜な夜な竹が光るという竹林には逆吊りの死体。「竹取物語」になぞらえた連続殺人事件に、牛深・松島…

佳多山大地『トラベル・ミステリー聖地巡礼』(双葉文庫)★★★★

『小説推理』隔月連載の「トラベル・ミステリー探訪」(2016年1月号~2019年3月号・全20回)に、パイロット版のエッセイ「鉄道で行くローカル・ミステリー・ツアー」(『ミステリマガジン』2013年12月号掲載)、小論「トラベル・ミステリーの定義と過去未…

甲賀三郎『妖魔の哄笑』(春陽文庫)★★★☆

上野発新潟行き急行列車の二等寝台車で顔を切り刻まれた男の惨殺屍体が発見された。出張で新潟に向かっていた東洋石油社員の土井健三は犯人と思われ拘束されてしまう。屍体は寝台車の乗客の中指が欠けた四本指の男と思われていたが、富豪で横浜の貿易商の野…

「周五郎少年文庫」未収録作リスト

『山本周五郎探偵小説全集』(作品社)収録作のうち、「周五郎少年文庫」(新潮文庫)に再録されなかった作品のリスト。第2巻 シャーロック・ホームズ異聞 「失恋第五番」「失恋第六番」 第3巻 怪奇探偵小説 「新戦場の怪」「恐怖のQ」 第4巻 海洋冒険譚…

池田雄一 トラミス作品リスト

01.出雲3号0713の殺意 1987年10月 * 02.「北斗星1号」DXロイヤルの殺意 1988年11月 03.寝台特急「北斗星」「あさかぜ」連続殺人 1989年7月 * 04.「日本海4号」11分の壁 1989年11月 * 05.21時間02分の密室 1990年4月 06.北陸特急「白山」「しらさ…

種村直樹 ミステリー著作リスト

鉄道警察・高杉警視シリーズ(トクマ・ノベルズ→徳間文庫/07と08は未文庫化) 01.日本国有鉄道最後の事件(1987年2月) 02.JR最初の事件(1988年1月) 03.JR瀬戸大橋線の危機(1989年1月) 04.トンネル駅連続怪死事件(1990年3月) 05.JR「ガーラ…

大谷羊太郎〈八木沢庄一郎警部補シリーズ〉リスト

01.大密室殺人事件(カッパ・ノベルス/1989年1月) 02.越後七浦殺人海岸 入れかわった死体(カッパ・ノベル/1990年1月) 03.西麻布 紅(くれない)の殺人(カッパ・ノベルス/1990年10月) ※〝旅情ミステリー・ゾーン〟シリーズ第1弾 04.東京青森夜行…

津村秀介『紅葉坂殺人事件』(ケイブンシャ文庫)★★★

雨が降る名古屋で、大塚貿易社長・大塚国蔵が二千五百万円を強奪された。ルポライターの浦上伸介は、この事件を「夜の事件レポート」で採り上げるため調査を開始。大学の先輩で『毎朝日報』神奈川県警記者クラブのキャップ・谷田実憲から情報を貰い、警察が…

深谷忠記『無罪』(光文社文庫)★★★

シンナー吸引常習の若者・江守真人に2歳になる息子を殺され、葬儀後に妻を自殺で亡くした新聞記者の小坂宏樹。江守は刑法第三十九条が適用され懲役6年に減軽され、小坂は江守の殺害を決意するが自堕落な生活を送るうちに殺意が薄れ、不祥事を起こして松本支…

吉村達也『編集長連続殺人』(光文社文庫)★★★

中央出版の週刊誌『週刊A(エース)』の二代目編集長・神田直之が車で崖に転落して事故死し、三代目編集長・渋谷悦史はサーカスを見学中にライオンに襲われ死亡した。いずれも就任13日目に起きた事故だった。怪文書がばら撒かれ社内が騒然とし、非公式に捜…

草野唯雄『北リアス海岸殺人事件』(光文社文庫)☆

家族を日本に残しブラジルに単身入植した井出義一は農園で共同生活をする岩手県出身の仲間6人と国営サッカーくじを購入し、一等に当選した。当選金(日本円で15億円)の使い道を相談していると睡魔に襲われ、目覚めると4人が殺されていて、彼と阿部勇作は…

赤川次郎『雨の夜、夜行列車に』(徳間文庫)★★★☆

頼まれてもいない講演に出掛けようとする元大臣の富田恒宏と使用人の中田貞子。覚醒剤密売組織と警察から追われる宮部武士、彼と一緒に逃げようとする妻・亜紀子。彼女の家を張り込む小村刑事は、妻・初子が相棒の工藤と浮気していることを知る。会社をクビ…

峰隆一郎『殺人特急(ブルートレイン)逆転の15分』(廣済堂文庫)★

寝台特急「さくら」で、小銭徳次が蝮毒を注入され殺された。司法浪人で弁護士事務所調査員をしている息子の亨は、大学の同級生で警視庁捜査一課の平栗良三と捜査を開始し、徳次の下の席の女が京都で入れ替わった気がするとの証言を得る。疑惑の女・赤座加津…

峰隆一郎 ミステリー作品リスト

01.海軍士官殺人事件(JOY NOVELS/1985年10月) 百元雄介1 02.戸倉上山田殺人事件(廣済堂ブルーブックス/1986年3月) 栢次郎&高比良亮1 03.平戸切支丹寺殺人事件→長崎平戸殺人事件(廣済堂ブルーブックス/1986年9月) 栢次郎&高比良亮2 04.丹沢…

津村秀介『黒い流域』(ケイブンシャ文庫)★★☆

集中豪雨で増水した津久井渓谷・相模川の河原で、大東洋建設常務の太田義行の妻・道子の変死体が発見された。犯行方法から犯人は左利きと推察され、捜査本部は左利きで二億円の資金流用や愛人が発覚し会社と家庭に問題を抱えていることが分かった義行の犯行…