梶龍雄『連続殺人枯木灘』(徳間文庫)★★☆

昭和二十年六月三十日、陸軍が開発中の新型兵器と研究員四名を乗せて焼津港から出港した太平丸が消息を絶った。三十一年後、和歌山県日置川町志賀で秋元肇が射殺された。彼のオサムシ採集を手伝うため遅れて到着した宇月与志雄は事件を知り、調査に乗り出した。秋元に撃ち込まれた銃弾が陸軍が試作したペンシル・ブレットであることが判明し、帰京した与志雄は元陸軍大将の祖父の伝手を使い憲兵隊指令部の長官だった黒木憲造に聴取するが狙撃され、黒木と太平丸を強奪した古川少尉を殺されてしまう。太平丸強奪の協力者の手掛りを掴むため志賀を再訪した与志雄を待っていたのは、陸軍が開発した蛇の毒を仕込んだ弩の矢を使った殺人と謎の武装集団によるアイランドジャックだった――。