阿久津主税『必ず役立つプロの常識』(毎日コミュニケーションズ)★★★☆

週刊将棋』掲載の「阿久津が明かすプロの裏知識」「阿久津将棋の瞬発力」を加筆・再構成。「これがプロの常識」「囲いの特性」「実戦次の一手」「実戦編&自戦記」の全4章。
中級〜初段くらいの棋力の読者をターゲットとしていると思われる、中終盤についての棋書。右玉関連の記述・項目があったので購入しましたが、なかなかの良書でした。
第1章では中終盤のポイント・指針を解説。明朗な解説で、読み応えがあります。「低い陣形と厚みの陣形」「玉の堅さと玉の広さ」「プロの距離感」「プロが明かす突き捨ての法則」「突き捨ては戦いの直前に」「玉頭突き捨てのタイミング」はとても参考にになりました。購入目的だった「右玉にはミレニアム囲いが有力」ですが、これは実戦で遭遇してみないと何とも言えないなぁ……。
第2章では囲いの特性について解説。必要最低限のポイントがコンパクトに纏められていて、良いです(崩し方は囲い崩しの本でどうぞ)。
第3章・第4章では、実戦譜を基にして中盤戦の解説。ポイントを押さえた解説で、盤に並べながら読むと良いかも知れません。欲を言えば、取り上げた将棋の棋譜を巻末に掲載して欲しかったなぁ(将棋の棋譜でーたべーすで調べることが出来るけど)。
買う買わないは別にして、一度目を通されることをお勧めします。何かしら得るものがあると思いますよ。
第1章「これがプロの常識」の棋譜
 ・対達正光六段
 ・対勝又清和五段
 ・対橋本崇載七段
 ・対飯塚祐紀七段
 ・島朗竜王―羽生善治六段
 ・羽生善治朝日―藤井猛九段
 ・対安西勝一六段
 ・村山聖七段―中村修八段
 ・佐藤康光棋聖―渡辺明竜王
 ・対谷川浩司九段
 ・対小林健二九段
 ・渡辺明竜王―佐藤康光棋聖
第3章「実戦次の一手」の棋譜
 ・対武者野勝巳六段(第2問)
 ・対高野秀行五段(第7問)
第4章「実戦編&自戦記」の棋譜
 ・対広瀬章人五段
 ・対中座真五段
 ・対深浦康市八段