『刑事 野呂盆六2 殺意のマリア』

赤坂インテグラルホテルの一室。開進党幹事長・銭谷貫一は、新明党代表・朝友政時と極秘会談をしていた。大新党構想から離脱するという朝友を、銭谷は女優との不倫スキャンダルの暴露をたてに引き止めようとするが拒まれる。食い下がる銭谷に対し、朝友は銭谷を侮辱する言葉を発する。頭に血が上った銭谷は、ネクタイで朝友を絞殺してしまう。我に返った銭谷は、かつての情婦でマルチ評論家の景高水音に助けを求める。彼女が最も得意としているのが、アメリカで学んだ犯罪学なのだ。協力を拒む水音に対し、銭谷は彼女の後ろ暗い過去の数々の暴露を仄めかす。政界進出を狙う彼女にとって、それだけは避けなければならない。協力することにした彼女は銭谷と共にホテルに向かい、朝友の自殺を偽装する。翌朝、銭谷はホテルの支配人と共に第一発見者として警察に通報。所轄署が初動捜査をしていると、冴えない中年男が現れる。彼の名は野呂盆六、警視庁捜査一課の警部補だ。盆六は事情聴取で、朝友が首吊りに使ったネクタイと銭谷のネクタイが似ていることに気付き、ゆさぶりをかける。朝友の部屋の通話記録を調べ最後の通話相手が水音であったため彼女にも事情聴取をした盆六は、水音と銭谷の関係に気付く。
※後半の展開をばらしています。
長坂秀佳原作・脚本の野呂盆六シリーズ第2作。銭貫と水音の関係がスリリングで作品に緊張感をもたらしており、画面に引き込まれてしまう。銭貫殺しの密室トリックはいただけないが、詰め手が素晴らしい。観るのはこれで3回目(本放送、地元局での再放送、BS-TBSでの放送)になるが、シリーズ最高傑作との記憶に間違いはなかった。機会があれば、是非ご覧になってみて下さい。