井上ねこ『盤上に死を描く』(宝島社文庫)★★★☆

71歳の老女殺しからはじまった連続殺人。現場にはプラスチックの将棋駒が残され、被害者たちには“色と欲”絡みのトラブルはなかった。コンビを組む愛知県警捜査一課の水科優毅と港南署の佐田啓介は、あることに気付く――。
第17回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。
詰将棋絡みのミステリーというと、岡沢孝雄・斎藤栄竹本健治山沢晴雄山村正夫吉村達也らの作品があるが、本作はガチな詰将棋ミステリーになっていて、業界初の本格的な詰将棋ミステリーと言っていいと思う。
中盤まではミッシング・リンクでひっぱり、事件が収束してからは××テーマが浮かび上がる構成でよく出来ていますが、水科とある人物の立ち位置の違いをもっと突っ込んでもよかったのではと思いました。
余談ですが、水科が古本屋の均一棚からクロフツフレドリック・ブラウンの文庫を拾っていて、親近感がわきました(笑)。

盤上に死を描く (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

盤上に死を描く (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)