峰隆一郎『長崎平戸殺人事件』(天山文庫)★★

長崎県平戸市の切支丹寺で男が刺殺され、目撃者の若い女性が記憶喪失になった。被害者は福岡の家具店主人・茅野康平、女性は上坂玲子と判明するが偽名だった。元警視庁捜査一課刑事で便利屋の栢次郎は、喫茶店チェーンのオーナー・広池達郎の依頼でこの事件を調査するため平戸へ飛んだ――。
『平戸切支丹寺殺人事件』(廣済堂ブルーブックス・1986年8月)改題。
峰のミステリー第3作で、〈栢次郎&高比良亮シリーズ〉第2作。
アクションあり濡れ場ありのサスペンスで、いつも通りの峰ワールド。このシリーズは初めて読んだが、栢と高比良のキャラクター・人生観は峰の時代小説に登場する浪人と変わらない気が……(他のシリーズキャラクターもそうだけど)。
本作、「隠れ切支丹・転び切支丹の血(業)」を峰イズムで描くことが主眼になっているため、ミステリーとして見るべき所は一つもない。以前読んだ『殺人特急 逆転の15分』と比べれば目立つ粗はなく、長距離移動時の暇潰しに読む分には十分楽しめるとは思う。
シリーズが鉄ミスに移行するのは5作目からなので、次からは鉄ミス期を読むことになると思う(1・3・4作目は未所有だし)。

長崎平戸殺人事件 (天山文庫)

長崎平戸殺人事件 (天山文庫)