ホレーショ・ウィンズロウ&レスリー・カーク『虚空に消える』(Re-ClaM編集部)★★★

ロバート・エイディーが『Locked Room Murders and Other Impossible Crimes』で絶賛した幻の不可能犯罪ミステリ"Into Thin Air"が遂に邦訳。
トホホ系のトリックが連打されるためガッカリする人が多そうだが(小技を積み上げていくタイプの作品の宿命)、〝J・D・カー登場以前の不可能犯罪長編ミステリ〟としては結構頑張っている方だと思う。「探偵小説講義」「消失講義」が活きているのがいいし、探偵役によるショーの後の展開には驚いた(あのネタも用意していたとは……)。
また、訳者解題は冷静かつ示唆に富んだ内容で、こちらも面白い(本作はいろいろと深堀り出来る作品だと思う)。
傑作とも駄作とも言えない評価に困る作品だが(この手のタイプの作品は、振り切れた部分があったほうがはっきりと評価しやすい)、読む価値はあると思う。個人的にこういう作品は大好きだが、評価をしない人の気持ちも分からないではない。