『LAW&ORDER:SVU』#97「導かれた殺人」Coerced

5歳の少年アダムが、寝ている間に何者かに部屋から連れ去られる事件が発生。網戸の切り口から身内の犯行と思われる。母親のキャロリンは裁判で親権を争っている元夫のピーターが犯人だと言うが、彼にはアリバイがあった。アダムの種違いの兄エリックから、キャロリンがピーターに渡すくらいならアダムを隠すと発言したことを聞き出し聴取するが、犯行を否定する。網戸が表裏逆に付けられていたことが判明し、外からの侵入者の犯行と断定された。24時間営業の雑貨店の近くで目撃したとの情報が入り、SVUの刑事たちが店に向かうとシャッターが下りていた。店内に突入すると、店主は刺殺されており、副マネージャーは重傷を負っていた。店の地下室に住んでいる精神障害を患う従業員のケビンの部屋から、“テイト”と書かれたアダムの写真が発見される。
この後、ケビンが逮捕されて一波乱二波乱あるわけですが、誘拐事件とその裁判だけで終わらせた方がドラマとしての完成度は高かったと思う。「事件を転がす」「普通には終わらない」のが『SVU』の面白さなので、この展開もアリだとは思うけれど。

『LAW&ORDER:SVU』#98「母の権利と子の権利」Choice

夜間警邏中の巡査がレストラン“ママ・スー”の異変に気付く。店内に入ると、壁にペンキで“くたばれアバズレ”との落書きがあり、経営者のジェニファー・フルトンが倒れていた。彼女の側には銃を持った10代のラテン系少年がいたが逃げられる。ジェニファーは暴行された痕跡があったが、レイプはされていなかった。彼女が未成年であるレオン・アーディレスに酒を販売して罰金を払っていたことが判明し、周辺のコンビニの防犯ビデオを確認したところガムを買うレオンが映っていた。ジェニファーに面通しをさせると、レオンが犯人だと証言する。逮捕されたレオンは店内に侵入し落書きをしたことは認めたが、レイプ未遂は否認する。ジェニファーの夫で共同経営者のクレイグにDVの過去があることが判明。ジェニファーに再度聴取するが、非協力的な態度を崩さない。しかし、クレイゲン警部とベンソン刑事の説得で、クレイグが犯人であることを認める。
訴訟の連続、権利の主張。アメリカ社会の病んだというか歪んだというか、そういう一面をまざまざと見せつけられる。最後はいい話風に終わるのだが、終始ジェニファーにむかつきっぱなしのエピソードだった。

『LAW&ORDER:SVU』#99「秘められた偏見」Abomination

裸でシーツに包まれた20代男性の死体が発見された。首が折れ、髪には白い粉が付着し、シーツには青いナイロンが付着していた。茂みから発見した枕の中には服と財布と“木曜7時 ブリーカー通り”と書かれたメモが入っていた。鑑定で髪に付着していたのは石膏と白い塗料の混合物、シーツに付着していたのはスポーツウェア用の青いナイロンが乾燥機の故障で溶けて付着したこと、最後に男と関係を持っていたことが分かった。ブリーカー通りのバーで聞き込みをし、被害者が“リジェネシス(更正協会)”という同性愛者の矯正を唱えるキリスト教の教団のポスターでモデルをしていたジェイムズ・リードと判明。自宅を捜索すると、彼がハドソン大の精神科の修士号を目指していたが分かり、ネブラスカの“神の摂理教会”から30通も脅迫の手紙が届いていた。元カレのフィルによると、ジェイムズが教団を非難する記事を書いていたこと、新しい恋人はゲイを隠していることが分かる。ジェイムズの葬儀で抗議活動をしていたショー牧師を不法侵入で逮捕し取り調べるが、地元で抗議活動中というアリバイがあった。
SVUでは頻出の、同性愛者絡みの事件を描いた1本。真綿で首を絞められる日々から解放され、ありのままの自分で生きていくことを決意したラストが爽やか。