千澤のり子『マーダーゲーム』(講談社ノベルス)★★★☆

自分の苦手なモノ・嫌いなモノ(スケープゴート)を学校内で<殺してくれる>犯人を推理する「マーダーゲーム」に興じる8人の小学6年生。ゲームは順調に進行するかに思われたが、学校で飼っているウサギが惨殺され、ついには死者までが出てしまい……。
※ネタばらしっぽい箇所は背景と同色にしています。また、作者と親しいため、下記の感想は眉に唾をつけて読んで下さい。
二階堂黎人との合作『ルームシェア 私立探偵桐山真紀子』(宗形キメラ名義)でデビューした千澤のり子嬢のソロデビュー作。
「やられたぁ〜!!!」というのが読後の第一声。気をつけていたのに見事にやられてしまった。終盤までぼく=ケー太で、犯人はさくらor給食のおばさんだと思っていたので、驚きましたよ。ホント、いいカモです(笑)。それと、給食のおばさん=麻生さんの母親にも驚いた。読み返してみると、見抜けるヒントが散りばめられていたのに全く気付きませんでした。こんな鈍感な私でも、暗黒面に落ちた麻生さんが母親を刺した犯人だったのは予想できましたけどね(と、負け惜しみを言ってみる)。
千澤嬢は作者のことばで

ミステリともホラーともサスペンスとも名づけにくい、奇妙な味の作品かもしれません。

と書いていますが、本作は立派なミステリでしょう。
最近の長篇ミステリとしては短いながらもいろいろと趣向を凝らしており、サクサク読めるのは好感が持てます。次回作も楽しみにしていますよ。

マーダーゲーム (講談社ノベルス)

マーダーゲーム (講談社ノベルス)