山田風太郎『甲賀忍法帖　山田風太郎忍法帖(1)』（講談社文庫）★★★★★

甲賀卍谷と伊賀鍔隠れは四百年にわたる宿怨の間柄だったが、甲賀の頭領・弾正の孫の弦之介と伊賀の頭領・お幻の孫の朧との婚礼を控えており、和解間近であった。慶長十九年四月の末、大御所・徳川家康は両頭領を駿府城へ呼び出す。このころ、家康は秀忠の後継者問題に悩んでいた。三代将軍は愚かな兄・竹千代か、聡明な弟・国千代か。豊臣を滅ぼす前にこの問題に決着をつけたい家康は、二代目服部半蔵の進言により、竹千代方に伊賀鍔隠れ十人衆、国千代方には甲賀卍谷十人衆を充て、多く生き残った方を後継者にすると決める。服部半蔵は両者の間にあった争闘の禁を解き、甲賀と伊賀の血で血を洗う忍法合戦が始まった。
「忍法帖」シリーズ第1作。映像化（『SHINOBI』は黒歴史）や漫画化（『バジリスク』など）もされている、伝奇時代小説の名作。1作目にして既にシリーズの型が完成されています。どちらに軍配が上がるのかは分かっていますが、そこへ至る奇想天外な展開だけで読ませてくれます。いやぁ、何度読んでも面白い。キャラが立っていて読みやすいので、山風作品の入門にぴったりかも。（再読・2005/9/21記[改稿]）