辻真先『北海道・幽霊列車殺人号』(光文社文庫)★★★

16年前、鉄道事故で死んだ少年。彼は本当は殺されたのではないか? 真相を乗せ、幽霊列車は廃線跡を走る——。
「トラベルライター瓜生慎シリーズ」第3期の第1作。
大掛かりな幽霊列車のトリックはアンフェアすれすれだが、16年前の事件の真相が明らかにされた後の展開には驚く。とってつけたような感じもするが、慎の簡潔な謎解きが楽しめるので良し。それにしても、哀しいラストだ……。
ところで、堂本編集局長って専務になったんじゃ?
(2002/8/17記・改稿)

北海道・幽霊列車殺人号 (光文社文庫)

北海道・幽霊列車殺人号 (光文社文庫)

購入本(古本)

22.斎藤栄近鉄特急アーバンライナー殺人旅行』(廣済堂文庫)
 →「江戸川警部シリーズ」第13作。
23.陳舜臣『燃える水柱』(徳間文庫)
24.峰隆一郎『鎌倉・江の島殺人特急』(青樹社文庫)
 →「警備保障調査員・五貫吾郎シリーズ」第?作。『鎌倉~行楽特急(ロマンスカー)殺人連鎖』改題
25.山田正紀『天動説(一)江戸幻想編』(カドカワノベルズ)

燃える水柱 (徳間文庫)

燃える水柱 (徳間文庫)

短編3作

千澤のり子嬢の短篇3作。一部、背景と同色にしています。
羽住典子「黒いすずらん」(探偵小説研究会=編著『CRITICA』vol.10掲載)
※『謎々 将棋・囲碁』(角川春樹事務所)収録
 放火で両親を失い、六歳の頃に札幌に住むおばあちゃんに引き取られたあたし。囲碁の先生であるおばあちゃんに囲碁を教えられるが、一回も勝てない。十歳になったある日、事件が起きる――。
 囲碁ミステリの佳作。事件が起きた要因と構図は(ちょっとした知識が必要となるが)あからさまな形でヒントが書かれているため分かりやすい。本作のキモはそれと密接に絡んだ“あたしの秘密”で、なかなか上手く機能している。
羽住典子「愛しの我が子」(探偵小説研究会=編著『CRITICA』vol.11掲載)
 川津家の代理と名乗る久住の訪問を受けた香澄が語ることとは――。
 ラスト数行にゾッとするサスペンスの好編。香澄の息子死に追いやったのは久住かと思ったが、考えすぎだった(笑)。
羽住典子「半分オトナ」( 探偵小説研究会=編著『CRITICA』vol.13掲載)
 二分の一成人式を中止にする方法とは――。
 社会派の作品であり、作者の作風(芸風?)と見事にマッチした現時点でのベスト短篇。最終章で明かされる事実に驚いた。また、ラスト一行がとても良い。

謎々 将棋 囲碁

謎々 将棋 囲碁

CRITICA 第11号 特集◆海外古典ミステリ再見

CRITICA 第11号 特集◆海外古典ミステリ再見