『幻想と怪奇 6』感想メモ、ラストです。
●夢見る人々(つづき)
アルジャーノン・ブラックウッド/渦巻栗=訳「トルネード・スミスの冒険」
有名な株式仲買人T・スミスは晴れやかな幸福感に包まれてベッドから飛び出した。出勤途中、少年から青い切符を買った彼は〈妖精郷〉へ旅立つことになり――。
ファンタジーであり、成長譚でもある作品。転調のタイミングが絶妙で、ラストもいい。ブラックウッド、こういうタイプの作品も上手いよなぁ。
《Le forum du Roman Fantastique》(読者投稿を掲載するコーナー)
君島慧是「天蓋の彷徨」
不眠症の治療に効果があるというホテルに宿泊した小学五年生の沙綾。部屋のベッドには天蓋がついていて――。
ファンタスティックでやさしい作品。
ドロシー・マカードル/舘野浩美=訳「ローシーン・ドゥの肖像」
夭逝した画家ヒューゴー・ブレイク唯一の肖像画〈ローシーン・ドゥの肖像〉はいかにして描かれたのか――。
美しくも哀しい物語。最後のセリフにギョッとする。
『幻想と怪奇 6』、面白い作品ばかりで最高だった。
ベストはラムジー・キャンベル「悪夢」。これは大傑作でしたねぇ……。他には、ヘンリー・S・ホワイトヘッド「影」、フリッツ・ライバー「アルバート・モアランドの夢」の2作も素晴らしかった。
このジャンルの愛好家は要チェックの雑誌・アンソロジーです。