深谷忠記『弥彦・出雲崎殺人ライン』(徳間文庫)★★☆

四月一日午後九時過ぎ、出雲崎の石油公園で女性が「ヤヒコニ……イッテ……ウラ……」という言葉を遺して殺された。被害者は北信相互銀行長野西支店の貸付係・水原千秋で、約四千万円を着服した疑いで銀行から調査を受けていた所、姿を消していた。前日に宿泊した弥彦パークホテルでは偽名を使い、宿泊カードに東京板橋区の住所と電話番号をスラスラ記入していた。新潟県警捜査一課の藤沼警部補は上京してその住所をあたり、彼女が〈ONODERA〉という男と共同でマンションを借りていたことを掴む。五日には弥彦神社裏の杉林の中から〈KANAME・TIAKI〉と彫られたエメラルドの指輪が、六日には弥彦パークホテルの元従業員で喫茶店を経営する児玉メグミの絞殺体が弥彦公園で発見される――。
黒江壮&笹谷美緒シリーズ第9作で、「殺人ライン」シリーズ第4作。
アリバイ崩しを封印し、ダイイング・メッセージの解読一本に絞った水準作。
ダイイング・メッセージが解けたら即犯人が分かる」というシンプルさが良く、本シリーズお馴染みの鬼畜外道な犯人のキャラクターも良い。