『ミステリマガジン』2009年5月号を拾い読み

積んでる本を読む気になれなかったので、『ミステリマガジン』2009年5月号(No.639)を拾い読み。
『さよなら、愛しい人』刊行直前ということで、冒頭3章の先行掲載、エッセイ、ガイド、短篇パスティーシュ3作を掲載。特集以外では連載作品のほか、バリー・アイスラーの新作長篇の冒頭3章が掲載されています(目次にはカズオ・イシグロの短篇が記載されていますが掲載されていません。修正が間に合わなかったのか?)。
ロジャー・L・サイモン「アイドル・ヴァレーの夏」 Summer in Idle Valley(初出=バイロン・プライス編“Raymond Chandler's Philip Marlowe”)
 特別に長い週末をメキシコのバハ・カリフォルニアにあるエンセナダで過ごすつもりで国境に向かう途中、私は海岸で今にも身投げしようとする男を見つけ、助ける。男はレイモンド・チャンドラーという作家だった――。うーん、これはどう評価すればいいんだろう。よくわかりません。この人の〈元過激派の私立探偵モウゼズ・ワイン〉シリーズを読んでみようかな。
J・マディスン・デイヴィス「盤上の人生」 Sixty-Four Squares(同上)
 暑い夕暮れに、わたしはチェスの棋譜を再現していた。そこへ二人の刑事が現れた。わたしがジミー・ヴァンダージャックを殺したと疑っているらしい。ヴァンダージャックは何者かに「見たことを忘れろ」と脅迫され、家族に危害を加えられるのではないかと怯えていたが、何のことなのか解らなかった。そこで彼はわたしに自分は何を見たのか調べさせた。調査をしたが、脅迫を受けるようなことは何ひとつ判明しなかったため、大丈夫だろうと告げたのだが、彼は殺されてしまった。わたしは再調査をはじめた――。まあまあの出来かな。もう少し枚数があったら、もっと面白くなっていたのかもしれない。この人は『LAW&ORDER』の小説を書いているのか。読んでみたいけど、翻訳されないだろうなぁ。
霞流一「犬が好きだった女」(書下ろし)
 俺はアロー。普段は番犬だが、パートで探偵をしている。ある夜、『大食いマボン』の異名を持つラブラドールレトリーバーが訪ねてきた。ベルさんという女性を探してほしいという――。新作『ロング・ドッグ・バイ』の前日譚。掌編ながら、結構良く出来ていると思う。切なさと温かさが共存したラストがいい。
小説以外で読んだのは以下の連載。千野帽子「誰が少年探偵団を殺そうと。」第9回(「下から目線」の話。気をつけてはいるんだけど、ついついやってしまうんだよなぁ)、石上三登志「日本映画のミステリライターズ」第33回和田誠監督作品についての第2回。『真夜中まで』、観たいなぁ)、仁賀克雄「仁賀克雄のできるまで」第1回(ワセダ・ミステリ・クラブ結成準備の話。べつだん興味があるわけではないのだが、読んでしまった)、オットー・ペンズラー「クライム・コラム」#313ジョー・ゴアズが書いた『マルタの鷹』の前日譚、ジョン・マンチ刑事ことリチャード・ベルザーのデビュー作、どちらも読みたいなぁ)、千葉豹一郎「お茶の間TV劇場」第9回(リチャード・ロング主演の探偵ドラマ『バーボン・ストリート』について。CSで放送してくれないかなぁ)。

ミステリマガジン 2009年 05月号 [雑誌]

ミステリマガジン 2009年 05月号 [雑誌]

さよなら、愛しい人

さよなら、愛しい人