津村秀介『伊豆の死角』(講談社文庫)★★

『小説NON』に1988年~92年にかけて発表した十篇を収録した第4短編集(初刊=1993年2月)。
文庫版のあらすじに旅情ミステリー傑作集とあるが、事件小説集と言うのが正しい。
収録作の殆どに金・不倫・セックスが絡み、淡泊な文体で書かれているため続けて読むのが辛かった……(長編なら苦にならないのだが)。
集中ベストは「過去の殺人」。津村の事件小説の中でも珍しいタイプの作品。
重度の津村ファンだけが読めばいい短編集。

伊豆の死角 (講談社文庫)

伊豆の死角 (講談社文庫)