山本巧次『江戸美人捕物帳 入舟長屋のおみわ』(幻冬舎時代小説文庫)★★☆

北森下町にある入舟長屋の大家の娘・お美羽は美人だが女丈夫との評判のせいか二十一歳になっても縁談がまとまらない。そんな彼女は店賃の取り立てや住人の世話をして大家の父・欽兵衛を助けている。ある日、長屋の住人で細工職人の栄吉から店賃の支払いを少し待ってほしいとお願いされる。理由を尋ねると、小間物商松葉屋に品物に難癖をつけられて手間賃を値切られ、喧嘩になり納品をやめたので金がないという。松葉屋を調べてみると、悪い噂が絶えない店のようで――。

購入本(古本)

3.大谷羊太郎『京都橋姫殺人事件』(コスモノベルス)
 →八木沢警部補シリーズ第31作。
4.山前譲=編『海外トラベル・ミステリー 7つの旅物語』(王様文庫)
 →7編収録。
5.山前譲=編『鉄ミス倶楽部 東海道新幹線50』(光文社文庫
 →7編収録。
6.山前譲=編『日本縦断 世界遺産殺人紀行』(ジョイ・ノベルス)
 →7編収録。

鉄ミス俱楽部 東海道新幹線50 (光文社文庫)

鉄ミス俱楽部 東海道新幹線50 (光文社文庫)

  • 発売日: 2014/09/11
  • メディア: 文庫
日本縦断 世界遺産殺人紀行 (ジョイ・ノベルス)

日本縦断 世界遺産殺人紀行 (ジョイ・ノベルス)

サミュエル・ロジャース『血文字の警告』(Re-ClaM編集部)★★★☆

夏の休暇を年下の友人ジューンと過ごすことになった女子大生ケイト・アーチャーは、「グラッドストーン氏の屋敷に行ってはいけない。もしそうすれば、お前は後悔するだろう」と赤いクレヨンで書かれた脅迫状を受け取った。不安を覚えながらも〈谷間の農場(ヴァレイ・ファーム)〉を訪れた彼女は、その夜、身も凍る「悪意」の洗礼を受ける――。
〈別冊Re-ClaM〉vol.3は、1945年に刊行された〈ポール・ハットフィールド教授シリーズ〉第2作でサイコ・サスペンス本格ミステリ"You'll Be Sorry!"の全訳。巻末にはアメリカのミステリ評論家カーティス・エヴァンズの評論「死の謝肉祭」も訳載されている。
第1作"Don't Look Behind You!"(1944年)、第3作(最終作)"You Leave Me Cold!"(1946年)も翻訳してほしい。

購入本(古本)

1.草川隆『寝台特急〈北陸〉の殺人』(FUTABA NOVELS)
 →〈「紅茶館」シリーズ〉第2作。
2.草川隆『東北新幹線 奥の細道殺人行』(BIG BOOKS)
 →〈「紅茶館」シリーズ〉第7作。

深谷忠記『津軽海峡+-の交叉』(講談社文庫)★★★★

女流推理作家・高岡沙也夏に会いに函館へ来た笹谷美緒。新作執筆の確約を得て安堵した美緒は沙也夏からこの後に来る銀嶺書店の弘田辰夫と三人で食事をと誘われ到着を待つが、彼は姿を現さなかった。
翌日、青函連絡船に乗り青森を訪れた美緒は、小説家志望の定時制高校教師・土橋滋と会う。その頃、夏泊半島で弘田の服毒死体が発見された。函館に向かっていた彼が「青森で知人と出会ったので連絡船を一便遅らせる」と上司の小松崎学に連絡していたことから刑事たちは殺人と確信するが、会った人物と殺害動機が浮かび上がらず捜査は難航する。
二週間後、美緒をはじめとする各出版社の編集者に脅迫状が届き、三鷹の東京天文台の敷地で小松崎の毒殺死体が発見される――。
〈黒江壮&笹谷美緒シリーズ〉第6作にして、「+-」シリーズ第2弾。青函トンネル開通により青函連絡船が廃止される二か月前に刊行された作品である(1988年1月刊)。
本作は何と言っても「津軽海峡ですれ違う上下の連絡船に犯人と被害者が乗っていた」という第3の事件のシチュエーションと、それを支える完璧すぎるアリバイに尽きる。完璧すぎるアリバイの真相(トリック)は反則気味だが、入念な準備には感心しかない。
また、慎重の上にも慎重を期す犯人の唯一のミスである失言(専門知識だが、一応、伏線が貼られている)を利用した逆トリックがバシッと決まる痛快さもよく、シリーズ上位に入る秀作と言っていいだろう。

津軽海峡+-の交叉 (講談社文庫)

津軽海峡+-の交叉 (講談社文庫)